焚き火に使う道具など、金属をDIYで使いたいときは多くあると思います。
一般的に売られている金属の特性を調べ直してみました。
ちなみに、焚き火の温度は1300度くらいと言われています。
焚き火で使用できる金属
鉄
- 融点:1500度(焚き火に使用可能)
- 錆が進行しやすい
- 熱伝導率が高い
どんな鉄なのかによって変わってきますが、一般的に切ったり穴をあけたリがしやすい素材です。
空気中の水と結びついて錆びようとする作用があり、錆びがどうしても問題になってきます。
比較的価格が安いためサビの問題をクリアすれば選択肢に入ってきますね。
サビの問題は加工である程度はクリアすることが可能です。例えばユニフレームのダッチオーブンやスキレットには黒皮鉄板という素材が使われています。
鉄を1200℃程度に加熱し、圧延していく過程でできる酸化皮膜のことです。
熱により酸化鉄となったこの黒皮は赤サビ(空気中の酸素と反応し、水を含んだ酸化鉄)を防止する役目を果たします。
ただし、完全なサビ防止ではありませんから、使用後のお手入れは必要です。https://www.rakuten.ne.jp/gold/wins-shop/detail/UNI-661062/uni-661062.htm
酸化皮膜ができることでサビにくい素材となっているわけですね。
酸化皮膜があっても濡れたりすれば錆びてしまいますので、やはり焚き火道具としてはなかなか使い辛いところかなと思います。
ステンレス
- 融点:1400度程度(焚き火に使用可能)
- 錆が進行しにくい
- 熱伝導率が低い
- 熱で歪みやすい
鉄にクロムやニッケルを合わせて錆びにくくしたものがステンレスです。
キャンプギアによく使われていますね。素材としても手に入れやすいです。
熱伝導率が低いため、熱されている部分のみが熱くなる傾向がありフライパンなどの調理器具には不向きなところがあります。
自分で加工するとなると結構くせ者で、粘りがあるため切ったり曲げたり穴をあけたりというのが意外なほどしづらいので、金属加工に詳しくなければ業者さんを頼るのが一番良いです。
一口にステンレスといっても実は種類があることをご存知でしたか?
よく使われるものとして、SUS304とSUS430というものがあります。
SUS304の方が性能の高さから広く使われているようです。
SUS304の特徴
- 耐熱性、耐食性、強度など性能に優れている
- 熱が加わった際の膨張率が高い(歪みやすい)
- 磁石にくっつかない
SUS430の特徴
- 304よりも安価
- 使い方によっては錆びる。特に熱が加わると錆びやすい
- 304よりも熱膨張率が低い(比較的歪みにくい)
- 磁石にくっつく
余談ですが、ステンレスを熱すると虹色のテンパーカラーという色がつきます。これはステンレスの中の鉄が空気中の酸素と結びついてできるものなんだそうです。
ステンレスを焚き火道具に採用するにあたり困るのが歪みの大きさです。
温度変化による歪みの大きさを表す線膨張係数という数値があるのですが、ステンレスは17、鉄は12、この後紹介するチタンは8.4となっています。焚き火に耐えられる金属の中ではステンレスがダントツで歪みがでやすいのです。
長時間高温になる火床にステンレスを使うと必ず歪んでしまいます。熱で歪んだ道具って見劣りしてしまいますね。
そのためスノーピークや笑’sなどのメーカーでは歪みにくい厚い鉄製のロストルを別売りしていたりします。
チタン
- 融点:1600度(焚き火に使用可能)
- 軽くて強い
- 錆が進行しにくい
- 熱伝導率が低い
高級なキャンプギアに使われているチタン。
こちらはプロでも苦労するほど加工性が悪く、そのためかなり高価です。DIYで使うというのはなかなか現実的ではないですね。
ホームセンターには売っていませんが、海外通販で手に入れることができます。
チタンの特徴としてはその軽さがあげられます。比重は4.5。ステンレスと鉄が7.9です。同じ大きさのものであればチタンの方がおよそ半分くらいの重さになるんですね。すごい。軽さの優先度が高いギアでチタンが使われている理由ですね。
チタンは熱伝導率が低い+比熱が高いという特徴があり、火が当たっているところの温度が上がりやすいのにその熱が広がっていかないため調理器具としては使いづらいところがあります。
焚き火で使用できない金属
アルミ
- 融点:660度(焚き火には使用すると溶けてしまう)
- 軽い
- 錆びが進行しにくい
- 熱伝導率が高い
融点が低いため焚き火道具作りには使うことができません。軽くて加工はしやすいのですがその分曲がりやすくもろいため使いどころが難しいですね。うちではこんな感じで試作品作りに使用しています。
ブリキ・トタン
鉄に亜鉛の膜を張ったものがブリキで、鉄にスズの膜を張ったものがトタンです。
亜鉛の融点が400度程度、スズの融点が200度程度なので、焚き火に使用すると亜鉛の膜がはがれてしまいます。
これはブリキのバケツに耐熱塗装をしたものですが、熱が加わったことで塗装が割れてしまいました。
なんで割れたのかイマイチ理解できていなかったのですが、亜鉛の膜が割れていたんですね。納得。
銅
- 融点:1000度(焚き火では使用不可)
- 比較的錆びにくい
- 熱伝導率が高い
叩いて伸ばすのに向いているのが銅です。焚き火の熱が当たるくらいの使い方であればいいのですが、焚き火の中に入れるような使い方、例えば焚き火台のロストルなんかには使用できません。
熱伝導率が高いという特徴があります。
ちなみに銅の青緑色の錆が有毒だという話がありますが、実は気にするほどではないみたいです。
(参考:緑青は猛毒じゃない。そして、なぜ猛毒と思われているのか?)
真鍮
- 融点:約800度(焚き火では使用不可)
- 熱伝導率が高い
銅と亜鉛の合金。融点が高くないため焚き火では使用できません。
叩いて伸ばすのに向いています。食器等によく使われますね。
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